視力視野障害(眼の障害)の認定基準
眼の障害認定基準は、「視力障害」、「視野障害」、「その他の障害」に区分されます。
ここでは、「視力障害」、「視野障害」の障害認定基準について解説します。
ここでは、「視力障害」、「視野障害」の障害認定基準について解説します。
- 従来、視力障害と視野障害について、 身体障害者手帳の認定基準と障害年金の認定基準は異なっていました。
- 令和4年、障害年金の認定基準を障害者手帳の認定基準に合わせる改正が行われました。
- これにより、視力障害と視野障害の認定基準は、 「年金の1級」と「手帳の2級」が、 「年金の2級」と「手帳の3級」が、 「年金の3級」と「手帳の4級」が ほとんど同一 となりました。
- 視力障害の認定基準
- 視力障害の改正のポイントは、 「両眼の視力の和」から「良い方の眼の視力」による認定基準になりました。
- 通常は、良い方の眼の視力が「0.1以下」なら3級、「0.07以下」なら2級、 「0.03以下」なら1級となります。
- ここでの視力とは、 屈折異常のあるものについては矯正視力とされています。
- 視野障害の認定基準
- 視野障害の改正のポイントは、これまでのゴールドマン型視野計 の認定基準に加え、自動視野計の認定基準が創設されました。
- 自動視野計の場合は、両眼解放視認点数が70点以下なら、障害年金の1級、2級、 または3級に認定されます。
- ゴールドマン型視野計の場合は、両眼のⅠ/4指標による周辺視野角度の和が80度以下なら、 障害年金の1級、2級、または3級に認定されます。
- 視野障害については、ゴールドマン型視野計の検査結果による認定と、 自動視野計の検査結果による認定の、2つの方法を選ぶことができるのです。
- ゴールドマン型視野計と自動視野計の両方の検査結果で、 等級判定に相違が生じるケースが3件に1件あると言われています。 両方の検査結果を提出することはできません。
- このため、どちらの検査結果を提出するのかによって、 等級または支給の可否が左右される可能性があります。
- 自動視野計による認定は、基準が緩いという意見も出ています。
- かかりつけ眼科医院に設置されている検査装置での検査結果に満足できない場合は、 異なる種類の検査装置を持たれている眼科医院で再検査をすることも考えられます。
視力視野障害(眼の障害)の初診日
障害年金を申請するためには、
初診日における 保険料納付要件を満たしていることを
証明しなければなりません。
視力視野障害(眼の障害)の場合は、 初診日がかなり過去になり、それが証明できなく、 当相談室にご相談される方が多いです。
視力視野障害(眼の障害)の場合は、 初診日がかなり過去になり、それが証明できなく、 当相談室にご相談される方が多いです。
- 初診日はいつになるのか
- 初診日とは、障害の原因となる傷病で 初めて医師の診療を受けた日となりますが、視力視野障害(眼の障害)の場合は、 必ずしも視力視野に異常を感じ眼科医院の診察を受けた日とは限らず、その前に、 相当因果関係があると認められる傷病がある場合、 その傷病での最初に受診した日が初診日 となることがあります。
- 例えば、眼異常を初発症状としない難病で脳神経に炎症が起き、視力視野障害が起こるケースもあります。 この場合は、難病で初めて病院に行った日が初診日となることがあります。
- 初めて病院で診察を受けた日がかなり過去になるため、 その日がいつなのかわからないことがあります。
- 初診日を間違えて障害年金の申請をすると、初診日が特定できないため不支給となり、 再度、申請をやり直さなければなりません。
- 視力視野障害(眼の障害)による障害年金申請の多くは、 認定されると申請日の翌月分から障害年金が支給されることになるため、 できるだけ早く、やり直しとならない申請をしたほうがいいです。。
- 初診日が特定できたら、初診日から現在までの病歴・就労状況等申立書の作成をすると同時に、 主治医に診断書の作成を依頼します。
- 初診日の証明は
- 初診日は、視力視野障害(眼の障害)の原因疾患で最初に受診した病院で、受診状況等証明書 を書いてもらうことで証明します。
- 受診状況等証明書に、「紹介状あり」、「A病院より転院」などの記載があれば、 初診日の証明とはなりませんので注意が必要です。
- 受診状況等証明書は、 初診の病院が診断書をいただく病院と異なる場合に必要となり、 1番目の病院で何かの理由で書いてもらえない場合は2番目の病院で、 2番目の病院でも書いてもらえない場合は3番目の病院で、・・・・・というように、 どこかの病院で書いてもらわなければなりません。
- 視力視野障害(眼の障害)の場合は、初診日がかなり過去になるため、
障害年金を申請しようとしたとき、
- 初診日がいつなのかわからない
- 初診の病院がどこかわからない
- 初診の病院がつぶれている
- 当時のカルテは廃棄されている
- このような場合は、障害年金専門の社会保険労務士に相談したほうが確実かと思います。
- 相当因果関係による初診日
- 障害の傷病前に、相当因果関係 があると認められる傷病があった場合は、前の傷病で初めて医師の診察を受けた日が 初診日となります。
- 視力視野障害(眼の障害)の病気の初診日は、 必ずしも生まれて初めて眼科医院を受診した日が初診日になるとは限りません。
- 白内障の治療で眼科医院を受診した方が、 十数年後に緑内障で再び眼科医院を受診するケースがよくあります。
- 一般的には、白内障と緑内障に相当因果関係はないので、緑内障で障害年金を申請する場合は、 緑内障で眼科医院を初めて受診した日が初診日となります。
- 視力視野障害(眼の障害)で障害年金を申請するには、いろいろな注意が必要となります。
- 初診日と障害年金
- 初診日に国民年金に加入していた場合で、 障害等級の障害2級以上に該当すると、 障害基礎年金が支給されます。 (主婦、自営業者、フリーター、学生など)
- 初診日に厚生年金に加入していた場合、 障害等級の障害3級以上に該当すると、 障害厚生年金が支給されます。 (サラリーマン、公務員の方など)
- 初診日に厚生年金に加入していた方が、視力視野障害(眼の障害)により障害2級以上に該当 すると、 障害基礎年金と障害厚生年金が支給されることになります。
視力視野障害(眼の障害)と診断書
障害年金を申請する場合の診断書用紙の様式は8種類ありますが、 視力視野障害(眼の障害)の場合は、眼の障害用 の診断書を主治医に記載してもらいます。
- 診断書の記載内容
- 視力視野障害(眼の障害)の場合は、眼の検査結果が一番重要です。
- 視力障害の場合は、その裸眼と矯正視力を正確に書いてもらいます。
- 視野障害の場合は、ゴールドマン型視野計か自動視野計のどちらかの検査結果を書いてもらい ます。 この時、視野図のコピーを添付する必要があります。
- 視力視野障害ともに、眼の手術歴がある場合は、それを漏れなく書いてもらいます。 また、予後(病気の見通し)欄は必ず記入してもらいます。
- 主治医への診断書の依頼
- 一般的に、眼科病院の主治医から「障害年金の申請をしてみてはどうか?」 と勧められることは少ないです。
- 視力視野障害の認定基準に該当していると思われる方は、 主治医に障害年金の申請を希望していることを伝え、相談してみることをお勧めします。
- 主治医が診断書を書いてくれない場合は、何かの理由があると思います。
- その理由を聞き出し、主治医に、人によく当たる、暗い所が歩けない、 階段の昇降や車に接触するのが心配、などを理解してもらうことが必要かと思います。
- 障害年金の申請では、患者さまと主治医の信頼関係が重要となります。
- 主治医の理解が得られ、認定基準に該当している方は、初診日の証明と初診日における 保険料納付要件を満たしていることを確認する必要があります。
- 当相談室では、皆さまから聞き込みを行ない、初診日の証明、 および保険料納付要件の確認や、主治医に診断書作成 のお願いなどのお手伝いもしております。
視力視野障害(眼の障害)申請の注意点
視力視野障害(眼の障害)で障害年金を申請するには、 受診状況等証明書、診断書、 病歴・就労状況等申立書など、いろいろな書類を揃えなければなりません。
- 病歴・就労状況等申立書について
- 視力視野障害(眼の障害)の障害認定では、 診断書の検査結果が一番重要視されますが、診断書の次に重要な書類が、 障害年金の申請者が自ら作成する病歴・就労状況等申立書です。
- 病歴・就労状況等申立書は、発症から現在までの受診状況に加え、 日常生活の状況や就労の状況を 具体的に記載するものです。
- 日常生活や就労に「どのような支障がでているか」について、 診断書では伝えきれないことを記載できる重要な書類なので、 ポイントをおさえて簡潔に書くことが必要となります。
- 転院をした場合にはその理由(主治医に不信感を持った、引越しのため、 など)について、 受診しなかった期間もその理由(経済的に受診できなかった、自覚症状がなかった、 など)について記載します。
- 眼の手術を受けたことがある場合は、 病歴・就労状況等申立書に必ず記載したほうがよいです。
- 障害年金の審査においては、主治医の作成した診断書と、申請者が記載した病歴・就労状況等申立書の 整合性も重要視されますので注意が必要です。
- 就労について
- うつ病やがんなどの場合は、就労の可否 が障害認定に強く反映されますが、 視力視野障害(眼の障害)の方は就労や日常生活に制限を受けていることが明らかであるので、 就労している場合であっても障害認定にあまり影響しません。
- 就労しているからといって不支給とはなりませんが、病歴・就労状況等申立書に 労働が制限を受けるもの (例えば、仕事中によく物に当たるなど)を詳細に記載することが重要となります。
- 遡及の申請について
- 障害年金の申請方法のひとつに、 障害認定日の申請(遡及の申請)があります。
- 障害認定日(初診日から1年6月)から現在まで、 障害等級に該当する症状が継続していた場合は、障害認定日に 遡り障害年金を申請することができます。
- 遡及の申請が認定されると、 過去の分の障害年金も支給されることになります。
- 視力視野障害(眼の障害)で遡及の申請を行なう場合の診断書は、 障害認定日(始め)の診断書と 申請日(終り) の診断書の2枚を提出することになります。
- 始めと終りの障害状態は医師が証明することになりますが、 症状の継続性を証明するために病歴・就労状況等申立書 が重要となります。
- 病歴・就労状況等申立書に、 遡及の期間は病院への受診が継続しており、 病状も変わらないことを素直に記載しなければなりません。
- 遡及の期間に受診期間の空白がある場合は、 一般的には「病状が改善していた」と判定されますので、 空白の期間も病状が変わらなかった場合はその旨を記載し、受診しなかった理由 (病院が遠くにあるため行けなかったなど) も記入することが必要となります。
- 視野障害の場合、障害認定日 (初診日から1年6月) ころは受診して治療を受けていたが、視野検査をしていなかったことが多いです。
- 受診をしていても検査をしていない場合は、障害認定日 (始め) の診断書をいただくことができないため、遡及の申請ができないことになります。
- その他
- 視力視野障害(眼の障害)の場合は、初診日から 1年6月を経過した日が障害認定日となり、 その日以後に障害年金を申請することができます。
- しかし、障害認定日(始め)には検査結果がまあまあで、 申請日(終り)に悪いことが多く、 この場合の障害年金の申請は申請日の申請 (事後重症の申請)と言われる方法となり、 認定されると申請日の翌月分から年金が支給されることになります。
- このため、できるだけ早く障害年金の申請を済ませることがお得になります。 また、申請日の申請は65歳になると申請することができないので注意が必要です。
- 視力視野障害(眼の障害)の障害年金の申請には、 初診日を証明をするための受診状況等証明書を依頼したり、 病歴・就労状況等申立書を記載したり・・・・・等など、 かなりの時間と労力が必要です。
- 当相談室は、視力視野障害(眼の障害)に特化した障害年金の ご相談を無料でおこなっております。
- 私は矯正視力が0.7であるが、いつが初診日なのか分からない ?
- 私は視野が不自由であるが、初診の病院はなくなっているけど ?
- Aさんは、視力障害で手帳を持っているが、障害年金の受給資格があるのかしら ?
- どのようなことでもかまいませんので、お気軽にお電話 でご相談ください。
- お電話は、 090 - 2731 - 4084 となります。